時をかけたい私のブログ

イケメン戦国についてたくさん変更していきます。ネタバレ多く含むのでご注意を。

スマホアプリ、イケメン戦国時をかける恋について色々書いていきます。
※ネタバレ多く含みます

上杉謙信 第3話(前半)



※ネタバレ注意


※名前は双葉です



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謙信様は私が自分の足で立ったことを確認すると、すぐに手を離した。

(怖いのか優しいのか、よくわからない人だな)


謙信「ついて来い」

「はい…っ」

それきり私のことを見ようともせず歩き出した謙信様を慌てて追う。

冷たい横顔をちらりと眺めて考えを整理しようとした時、

ふと、佐助くんと交わした会話が脳裏をよぎった。


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佐助「ああ、そうだ。これだけは言わせて」

「何?」

佐助「謙信様のこと。ああ見えて、悪い人じゃないんだ。信じてもらうのは難しいかもしれないけど、頭の片隅に留めておいて」

「わかった。覚えておくね」

佐助「ありがとう」

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(佐助くんの言葉を信じるなら、謙信様はただの怖い人じゃないはずだ。そうだ、刀を向けられた時にだって……)


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謙信「自覚しろ、お前の命は儚い。戦乱に抗うすべを持たぬ女という生き物は、この乱世ではたやすく散っていく」

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(怖い思いをさせられたけど、謙信様の言ったことはもっともだった。私の考えは、この時代の人からするときっと甘い……かといって、人が殺されるところを黙って見てることはできないけど)


私と謙信様の間に深い溝があっても、歩み寄る努力はしたかった。

大きく息を吸い込んで、謙信様の背中に呼びかける。

「……あの、謙信様。ありがとうございます」

謙信「何の話だ」

立ち止まり振り返った謙信様が、怪訝そうな顔をしている。

「さっきは驚いてしまって、ちゃんとお礼が言えてなかったので。謙信様には、二回も助けていただいたことになります。なんとお礼をすればいいのかわかりません」

謙信「……お前は何を考えている?」

「え?」


まじまじと私を見つめる目に、かすかな戸惑いの色が浮かんだ。

謙信「俺はお前を力で制圧し、刀で脅しつけたんだぞ。どういう思考回路をしていたら、その相手に礼を言う気になるのだ」

「確かに、謙信様の刀が自分に向けられた時は、すごく怖かったです。人を簡単に殺そうとしたことも、やっぱり理解できそうにありません。でも…謙信様が私を助けてくださったのは、事実ですから」

謙信「考え違いをするな。俺は退屈しのぎにあの者たちを斬り伏せようと思っていただけだ」


(でも……)

ずっと頭の中に引っかかっていた違和感をぶつけてみる。

「それなら、戦いが終わった今、私を送ってくださる必要はありませんよね?」

謙信「……」

黙り込んだ謙信様を見て、はっとする。

(この反応……)

「っ……退屈しのぎなんて関係なく、最初から私を助けてくれるおつもりだったんじゃないんですか?」

謙信「違う」

私が直感的に閃いた考えを口にすると、謙信様は憮然とした表情になる。

謙信「俺は己の責任を果たそうとしただけだ」

「責任?」

謙信「食事処でお前があの男たちと揉めた時、俺が割って入り奴らを中途半端に刺激した。浪人どもが今日、お前を追いかけ回したのはそのためだ。穏便に済ませるのは向いていない。ならば、最初から徹底的に潰しておくべきだった。となれば、今からでも原因の男たちを滅して問題を解決するのは俺の責任だろう」

(あの時……そんなふうに考えてたの?)


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浪人2「ま、まあ、待てよ。俺たちも冗談が過ぎた、話せばわかるって…」

謙信「話すことなどない――俺が間違っていた」

浪人2「え?」

謙信「お前たちのような雑魚など、斬って捨てる価値もないと思っていた。だから、一度は見逃した。だが、違った。お前たちは生きているだけで害を為す。己の愚かさを悔いろ。……この世ではもう間に合わなかったとしても」

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(浪人たちを殺そうとしたのは、謙信様なりの償いだったの……?)

驚いて、謙信様を見上げる。

感情の読めない冷たい顔に、初めてはっきりと血が通って見えた気がした。

(私は、この人のことを誤解してたのかもしれないな)

謙信「わかったら、戯言をさえずるのはやめて大人しく歩いてろ」

「はい、わかりました。謙信様が、優しいところのある方だっていうことが」

謙信「何?」

「私はやっぱり人を簡単に殺すのは間違ってると思います。だから、同じ場面になったらきっと何度でも謙信様を止めてしまうでしょう。だけど、謙信様が私のことを考えてくださった上での決断だったと知れてよかったです」

謙信「……お前と話していると、調子が狂う。妙な女だ」

視線を注がれて、緊張で胸がとくっと鳴った。


謙信「お前はいつもそうなのか?」

「どういうことですか……?」

謙信「お前は愚かなまでに楽観的で人を信じやすく、それでいて驚くほど頑なだ。己の甘さで危険に陥り、子ウサギのように震えているかと思えば、俺に対して物怖じもせずに意見をぶつけてみせる」

(もしかして、気に障ったのかな)

「ええっと……自分ではよくわからないです」

首を捻るわたしを見て、謙信様はひやりとした笑みを浮かべる。

謙信「無自覚か。余計に性質が悪い。さぞ、周りに大切に育てられて何ひとつ不自由することなく暮らしているのだろうな」

(周りの環境か……)

「確かにこの乱世で住むところも食べるものも与えられてる私は幸運だと思いますけど、最近、突然身の回りの環境が変わったので、苦労することも多いですよ」

謙信「苦労?」

「奉公先の人たちが何を考えてるかわからないし、自分の居場所がないような気がしてしまって。新しい環境に早く馴染まなきゃって思ってるんですけどね」

(いけない、こんなこと謙信様に言ったって仕方ないよね)



◎ すみません(選択肢 4+4)



「すみません、なんだか愚痴のようになってしまいました」

謙信「まったくだ。お前が何を悩んでいるのか俺には理解できない」

(そうですよね…)

ここまで堂々と斬り捨てられると、いっそ清々しい。

謙信「周りの思惑など、考慮するだけ無駄だ。己の好きなように生きればそれでよかろう」

(謙信様は、確かに自分の思う通りに生きてそうだよね)

「私も、そんなふうに生きられる強さがほしいです」

素直に羨ましくなってそう呟くと…

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